豪徳寺といえば、ずらりと並ぶ招き猫を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。東京都世田谷区にある豪徳寺は、招福猫児(まねきねこ)で親しまれているだけでなく、彦根藩主・井伊家の菩提寺として長い歴史を持つ曹洞宗のお寺です。
わたしは2024年2月と2026年8月の2度、豪徳寺を訪れました。季節によって境内の雰囲気も異なり、招き猫だけではない豪徳寺の魅力を感じることができました。
この記事では、実際に参拝したときの写真や体験を交えながら、豪徳寺の見どころ、招福猫児にまつわる伝承、御朱印、拝観時間やアクセスなどをご紹介します。なお、拝観時間や授与品などの変わりやすい情報は、2026年8月に公式情報や現地案内をもとに確認しています。
- 豪徳寺と井伊家、招福猫児との関わり
- 仏殿・三重塔・招福殿・井伊家墓所などの見どころ
- 御朱印と招福猫児・授与品の情報
- 拝観時間やアクセス、実際に2度訪れて感じた境内の様子
豪徳寺はどんなお寺?
豪徳寺は、東京都世田谷区にある曹洞宗のお寺です。招き猫でよく知られていますが、彦根藩主・井伊家の江戸での菩提寺として大切にされてきた歴史もあります。
境内には、招福猫児が並ぶ招福殿だけでなく、江戸時代に建てられた仏殿や三重塔、国指定史跡の井伊家墓所など、歴史を感じられる場所が残っています。
招き猫を目当てに訪れても、境内を歩いているうちに豪徳寺のもう一つの魅力に気づけるお寺です。
豪徳寺の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 大谿山 豪徳寺 |
| 読み方 | ごうとくじ |
| 宗派 | 曹洞宗 |
| 所在地 | 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7 |
| 御本尊 | 釈迦牟尼仏(御朱印に「本尊 釋迦牟尼佛」と記載) |
| 拝観時間 | 6:00〜17:00 |
| 寺務所受付時間 | 8:00〜12:00/13:00〜15:00 |
| アクセス | 最寄り駅:東急世田谷線「宮の坂駅」徒歩5分/小田急線「豪徳寺駅」徒歩15分 |
| 電話番号 | 03-3426-1437 |
| 駐車場 | 参拝者駐車場あり |
| 公式サイト | 大谿山 豪徳寺 公式サイト |
※拝観時間や寺務所受付時間、授与品などは変更される場合があります。参拝前に豪徳寺の公式案内をご確認ください。
豪徳寺の御本尊と信仰
豪徳寺の宗派は曹洞宗です。ここでは、豪徳寺の宗派と御本尊について、確認できる情報をもとに紹介します。
豪徳寺は曹洞宗のお寺
豪徳寺は、坐禅を大切にする禅宗の一つ、曹洞宗のお寺です。
豪徳寺の境内には、仏殿や三重塔、法堂などがあり、それぞれに仏像が安置されています。招き猫の印象が強いお寺ですが、まずは曹洞宗の寺院として長く信仰されてきた場所であることを知っておくと、境内の見方も少し変わってきます。
御朱印に記された「本尊 釋迦牟尼佛」
2026年8月に豪徳寺でいただいた御朱印には、中央に「本尊 釋迦牟尼佛(しゃかむにぶつ)」と記されています。
「釋迦牟尼佛」は、一般に釈迦如来を指す表記です。豪徳寺の公式サイトでも、仏殿に「釈迦如来坐像」が安置されていることが紹介されています。
豪徳寺の御由緒と井伊家との深い関わり
豪徳寺の歴史をたどるうえで欠かせないのが、彦根藩主・井伊家との関わりです。現在の寺名「豪徳寺」にも、井伊家との深いつながりが残されています。
弘徳院から豪徳寺へ
豪徳寺の前身は「弘徳院」といい、1480年にはその存在が記録されています。
その後、1633年に世田谷が彦根藩の領地となると、弘徳院は井伊家の江戸における菩提寺となりました。
1659年には、彦根藩第2代藩主・井伊直孝の法名「久昌院殿豪徳天英大居士」にちなんで、寺名を「豪徳寺」と改めています。
現在の豪徳寺という名前には、井伊家との長い関わりが刻まれているのです。
井伊家の江戸菩提寺として発展
井伊家の菩提寺となった豪徳寺は、その後も井伊家と深い関わりを持ちながら歩んできました。
境内には、井伊直孝をはじめ、幕末の大老として知られる井伊直弼など、井伊家ゆかりの人々の墓所があります。
この墓所は、国指定史跡「彦根藩主井伊家墓所」の一部です。招き猫で知られる豪徳寺ですが、井伊家の歴史を今に伝える場所でもあります。
豪徳寺の境内を歩いて見どころを紹介
境内を歩いていると、豪徳寺ならではの見どころが次々と現れます。ここでは、実際に参拝したときの写真とともに、印象に残った場所を紹介します。
松並木を抜けて山門へ
豪徳寺へ向かう参道には松並木が続き、その先に山門が見えてきます。

山門には「碧雲関(へきうんかん)」の額が掲げられています。豪徳寺の案内では、境内と外の世界を分ける門という意味が込められているとされています。
夏に訪れたときは、参道の木々も緑が濃く、山門へ向かう道にも夏らしい景色が広がっていました。

1677年建立の仏殿
境内にある仏殿は、1677年に建立された建物です。

内部には阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像、弥勒菩薩坐像が安置され、建物とともに世田谷区の指定文化財となっています。
正面には「弎世佛(さんぜぶつ)」と記された額が掲げられています。「三世」は過去・現在・未来を表す言葉です。
招福猫児に目が向きやすい豪徳寺ですが、こうした仏教寺院としての歴史を伝える建物にも目を向けてみたいところです。
猫の彫刻も見つけたい三重塔
境内でひときわ目を引く三重塔は、2006年に完成しました。高さは22.5mあります。

塔には十二支の彫刻が施され、その中には豪徳寺らしい猫の姿も見られます。十二支では本来「子(ね)」にあたる場所にも猫が表現されているのが特徴です。

2024年2月に訪れたときは木々の葉が少なく、三重塔の姿を比較的よく見ることができました。塔を見上げる際は、細かな彫刻にも注目してみてください。
招福猫児が並ぶ招福殿
豪徳寺らしい景色の一つが、招福殿の周辺に並ぶたくさんの招福猫児です。
招福殿は1941年に建立され、2022年に改修されました。

堂内には招福観音菩薩立像が安置されていて、家内安全や商売繁盛、開運招福などを願う参拝者が訪れます。
周囲には奉納された大小さまざまな招福猫児が並び、その数の多さに思わず足を止めました。

豪徳寺の招福猫児にまつわる伝承や、小判を持っていない理由については、後ほど詳しく紹介します。
井伊直弼らが眠る井伊家墓所
境内には、豪徳寺と深い関わりを持つ井伊家の墓所があります。
ここには豪徳寺の寺名の由来にもなった井伊直孝をはじめ、幕末の大老・井伊直弼など、井伊家ゆかりの人々が眠っています。
豪徳寺の井伊家墓所は、国指定史跡「彦根藩主井伊家墓所」の一部です。

招き猫で知られる境内を歩いていると、井伊家の菩提寺として受け継がれてきた歴史にも触れることができます。墓所では静かな環境を大切にしながら見学したい場所です。
豪徳寺の招き猫「招福猫児」とは
豪徳寺を象徴する存在として親しまれているのが、右手を上げた白い招き猫「招福猫児(まねきねこ)」です。
かわいらしい姿だけでなく、井伊直孝と猫の伝承や、小判を持たない姿にも豪徳寺ならではの意味があります。ここでは、招福猫児にまつわる伝承や奉納の仕方、信仰について紹介します。

井伊直孝が猫に招かれたという伝承
豪徳寺には、彦根藩主・井伊直孝が猫に招かれたことをきっかけに、お寺との縁が結ばれたという伝承があります。
ある日、直孝がお寺の前を通りかかったところ、門前にいた猫が手招きをするようなしぐさをしました。猫に招かれるようにお寺へ入ると、突然雷雨となり、雨を避けることができたと伝えられています。
直孝は住職との語らいにも心を動かされ、この出来事をきっかけに豪徳寺との縁が深まったとされています。
豪徳寺では、この猫を「福を招いた猫」として大切にするようになり、現在の招福猫児へと受け継がれています。
豪徳寺の招き猫はなぜ小判を持っていないの?
豪徳寺の招福猫児を見ると、一般的な招き猫によく見られる小判を持っていません。
豪徳寺では、招福猫児が招くのは「福」そのものではなく、人や出来事との「縁」と考えられています。
良い縁を生かせるかどうかは、その人自身に委ねられています。いただいた縁に感謝し、大切にすることで福につながっていくという考え方が、豪徳寺の招き猫には込められています。
小判を持たないシンプルな姿にも、こうした豪徳寺ならではの意味があるのですね。
招き猫「招福猫児」は持ち帰る?いつ奉納する?
豪徳寺で授与された招福猫児は、そのまま持ち帰ることができます。奉納する時期に決まった期限はなく、願いが成就したあとに、感謝の気持ちを込めて奉納する方が多いと案内されています。
境内の奉納所には、大小さまざまな招福猫児が並んでいます。わたしが訪れた際も、多くの招福猫児が奉納されていました。

豪徳寺の招き猫にはどんなご利益がある?
豪徳寺の招福猫児は、「福そのものを運んでくる」というより、良い縁を招く存在として大切にされています。
そのため、「招き猫を持てば必ず願いが叶う」というものではありません。豪徳寺では、招かれた縁を大切にし、感謝することが福につながるという考え方が伝えられています。
また、招福猫児が並ぶ招福殿では、家内安全・商売繁盛・開運招福などを願う参拝者が訪れます。
招き猫そのものと招福殿での祈願内容を同じものとして考えるのではなく、豪徳寺が大切にしている「縁」の考え方を知っておくと、招福猫児の見え方も少し変わってきます。
豪徳寺の御朱印をいただきました
豪徳寺を再訪した際、今回は受付時間内に訪れ、御朱印をいただくことができました。
2026年8月の御朱印は書き置き・500円
いただいた御朱印は、書き置きのみで500円でした。
中央には「本尊 釋迦牟尼佛」、左下には「大谿山 豪徳寺」と記されています。日付も入っていて、今回の参拝の記録として残すことができました。

御朱印の授与方法や金額は変更される場合があります。
招福猫児・お守りなどの授与品
豪徳寺では、招福猫児をはじめ、お守りや福銭、絵馬、御朱印帳などの授与品があります。料金は変更されることがあるので、ここでは2026年8月に確認できた内容を紹介します。

2026年7月に授与品の料金が改定
豪徳寺では、2026年7月から授与品の料金が改定されています。
2026年8月確認では、お守り・福銭・絵馬はいずれも1,000円、御朱印帳は2,500円(御朱印帳のみの場合は2,000円)となっています。

訪れた際は、券売機でキャッシュレス決済も利用できました。現金で支払う場合は、券売機に並ばず受付へ進むよう案内されています。

授与品の種類や料金、支払い方法は変更される場合があります。
招福猫児は500円から・サイズによって欠品も
招福猫児は大きさによって料金が異なり、2026年8月確認では500円〜10,000円です。
サイズによっては欠品していることもあるため、希望する大きさがある場合でも、当日の在庫状況によっては選べないことがあります。
境内で実際に見た招福猫児は、大きさによって印象もかなり違いました。授与を考えている方は、受付でその日の状況を確認するとよいかもしれません。
豪徳寺を参拝するときに知っておきたいこと
豪徳寺を参拝するときは、境内の建物や奉納された招福猫児を大切に見学したいところです。建物によっては公開日が限られている場所もあるので、事前に知っておくと安心です。
境内には大きな階段はなく、比較的歩きやすく感じました。砂利道や石畳の場所があるので、歩きやすい靴がおすすめです。
8月に訪れた日は気温33℃の暑い日でした。御朱印などの受付近くにはミストシャワーが設置されていて、少し暑さをしのげました。仏殿前の木陰で休んでいる方の姿も見かけました。
奉納された招福猫児には触れたり落書きをしたりしない
境内に並ぶたくさんの招福猫児は、豪徳寺を代表する景色の一つです。
一体一体が大切に奉納されたものなので、豪徳寺では、奉納された招福猫児に触れたり、落書きをしたりしないよう案内しています。

写真を撮る際も、奉納された招福猫児には触れず、そのままの状態で見学したいですね。
開祖堂・地蔵堂は公開日が限られている
開祖堂は、正月三が日・春秋のお彼岸・お盆の期間に開かれます。
地蔵堂は、土日祝日のほか、正月・お彼岸・お盆の期間に公開されています。
訪れる日によっては開かれていないこともあるので、これらのお堂を目当てにする場合は公開日を確認しておくと安心です。
井伊家墓所やお堂の周辺では、周囲に配慮しながら静かに見学しましょう。
豪徳寺の拝観時間と混雑・所要時間
豪徳寺は早朝から拝観できますが、御朱印や授与品を希望する場合は、寺務所の受付時間に注意が必要です。実際の受付時間は午前と午後に分かれていて、昼の休憩時間があります。
拝観は6:00〜17:00・寺務所受付は8:00〜12:00/13:00〜15:00
豪徳寺の拝観時間は6:00〜17:00です。
寺務所の受付は、2026年8月に現地で確認した案内では、
- 8:00〜12:00
- 13:00〜15:00
となっていて、12:00〜13:00は休憩時間です。

御朱印や授与品を希望する場合は、この受付時間内に訪れるようにしましょう。
2024年2月に参拝した際は15時を過ぎていて受付が終了していたため、御朱印をいただくことができませんでした。次に訪れたときは受付時間内に到着し、御朱印をいただくことができました。
実際の混雑や所要時間は?
実際に訪れたときは、受付と招福猫児が奉納されている招福殿に少し人が集まっていました。外国人観光客の姿もとても多く、招き猫を眺めたり写真を撮ったりする方が目立ちました。

外国の方にとっては、日本の招き猫が珍しく感じられることもあるのかもしれません。
この日は13時15分頃に到着し、境内をゆっくり見て14時10分頃まで滞在しました。仏殿や三重塔、招福殿、井伊家墓所などを見て回り、所要時間は約55分です。
御朱印は5分ほどの待ち時間でいただけました。混雑状況によって待ち時間は変わるため、境内をゆっくり見て回りたい場合は、1時間ほど余裕をみておくと安心です。
豪徳寺へのアクセス
豪徳寺へは、東急世田谷線「宮の坂駅」と小田急線「豪徳寺駅」の2駅からアクセスできます。宮の坂駅の方が近く、徒歩5分ほどです。
車で訪れることもできますが、わたしは駐車場へ入る場所が少しわかりにくく感じました。
宮の坂駅から徒歩5分
東急世田谷線「宮の坂駅」から豪徳寺までは、徒歩5分ほどです。
公式サイトでも最寄り駅として案内されていて、電車で訪れる場合は最も近い駅になります。境内までの距離が短いので、できるだけ歩く距離を少なくしたい方にも利用しやすい駅です。
小田急線豪徳寺駅から徒歩15分
小田急線「豪徳寺駅」からは、徒歩15分ほどです。
宮の坂駅より少し距離がありますが、小田急線を利用する方はこちらから歩いて向かうこともできます。
車で訪れる場合
車で訪れた際は、参道側から駐車場へ入る形になっていました。わたしは初めてだったので、「ここから車で入って大丈夫かな」と少し迷いました。

境内には参拝者用の砂利の駐車スペースがあります。現地で確認したところ、参拝者は利用できます。
駐車場の台数や利用条件については、公式情報で詳しく確認できていないため、車で訪れる場合は事前に最新の案内を確認しておくと安心です。
2024年と2026年、2度参拝して感じた豪徳寺
豪徳寺には季節を変えて2度訪れました。時期が違うと、境内の雰囲気や建物の見え方にも少しずつ変化があります。
2024年2月は木々の葉が少なく、三重塔などの建物が比較的よく見えました。境内には花も咲いていて、冬から春へ向かう時期らしい景色が印象に残っています。
2026年8月は緑が濃く、境内全体が夏らしい雰囲気でした。所々に紅葉する木も見かけたので、秋にはまた違った景色を楽しめそうです。

2度訪れたことで、招福猫児だけでなく、建物や木々、季節によって変わる境内の表情にも魅力を感じました。
豪徳寺のよくある質問
まとめ|招き猫だけでなく井伊家の歴史も感じられる豪徳寺
豪徳寺は、たくさんの招福猫児で知られるだけでなく、井伊家の菩提寺として長い歴史を持つお寺です。
境内には、招福殿や三重塔、仏殿、井伊家墓所などがあり、招き猫だけではない豪徳寺の魅力に触れられます。
御朱印や授与品をいただく場合は受付時間に注意が必要ですが、境内そのものは比較的歩きやすく、ゆっくり見て回れます。
招き猫をきっかけに訪れても、井伊家との関わりや歴史ある建物を知ることで、豪徳寺の印象が少し変わるかもしれません。
世田谷エリアでほかの神社も巡りたい方は、奉納相撲の土俵や御朱印も見どころの世田谷八幡宮の参拝レポートも参考にしてみてください。

