東京都中央区日本橋堀留町に鎮座する椙森神社(すぎのもりじんじゃ)は、平安時代の創建と伝えられる歴史ある神社です。
江戸時代には「江戸三森」の一つとして信仰を集め、境内では幕府公認の富くじ「御免富」が行われました。その歴史を今に伝える「富塚」は、椙森神社を代表する見どころです。
また、日本橋七福神では恵比寿神をおまつりする一社で、商売繁盛や福徳を願う参拝者が訪れています。
わたしは2026年9月18日、日本橋七福神巡りの途中で椙森神社を参拝しました。
この記事では、富塚や御社殿などの見どころ、ご利益、御朱印や御朱印帳、アクセスについて、公式・公的情報と実際に参拝した体験をもとにご紹介します。
椙森神社とは|江戸の富くじ文化と日本橋七福神の恵比寿神
椙森神社の読み方は「すぎのもりじんじゃ」です。
御祭神は五社稲荷大神(倉稲魂大神・素戔嗚大神・大市姫大神・大巳貴大神・四大神)で、相殿に恵比寿大神をおまつりしています。

江戸時代には烏森神社・柳森神社とともに「江戸三森」と呼ばれ、多くの人々から信仰を集めました。
現在では、日本橋七福神の恵比寿神をおまつりする神社としても知られています。
椙森神社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 椙森神社 |
| 読み方 | すぎのもりじんじゃ |
| 所在地 | 東京都中央区日本橋堀留町1-10-2 |
| 御祭神 | 五社稲荷大神、恵比寿大神 |
| 日本橋七福神 | 恵比寿神 |
| 御朱印等受付 | 公式サイトでは9:30〜17:00(不定不在あり) |
| アクセス | 最寄り駅:東京メトロ日比谷線「小伝馬町駅」3番出口から徒歩約5分 |
| 電話番号 | 03-3661-5462 |
| 駐車場 | 参拝者用駐車場について公式案内を確認できず |
| 公式サイト | 椙森神社公式サイト |
※御朱印等の受付時間は、2026年10月11日時点の公式サイト情報です。2026年9月18日の現地表示では9:00〜17:00となっていました。
平安時代から伝わる御由緒と「江戸三森」
中央区の資料では、椙森神社は平安時代の承平元年(931年)頃に創建されたと伝えられています。
社名の「椙森」は、かつて杉の木立が茂る森の中に祠があったことに由来します。当時は「杉森稲荷社」「杉森稲荷大明神」と呼ばれていて、現在の「椙森神社」という社号になったのは明治9年(1876年)と伝えられています。
御由緒には、有名な人物にまつわる伝承も残っています。
天慶3年(940年)には、田原藤太秀郷(藤原秀郷)が平将門追討に向かう際に戦勝を祈願し、勝利後に白銀の狐像を奉納したという伝承があります。
また、文正元年(1466年)頃には、太田道灌が干ばつの際に雨乞いを行い、その霊験を受けて山城国稲荷山の五社大神を勧請したと伝えられています。
いずれも、椙森神社に伝わる御由緒として紹介されています。
江戸時代には椙森神社・烏森神社・柳森神社が「江戸三森」と呼ばれ、人々の信仰を集めました。

椙森神社のご利益|商売繁盛・福徳と宝くじ祈願
椙森神社では、「商売繁盛」や「厄除け」などの祈願が行われています。
また、日本橋七福神の恵比寿神をおまつりする一社として、福徳や商売繁盛を願う参拝者が訪れます。
椙森神社の大きな特徴が、江戸時代に行われていた富くじの歴史です。
境内には、その歴史を伝える富塚があり、富くじの歴史や富塚にちなみ、現在は宝くじ当選を願って訪れる参拝者もいます。
ただし、椙森神社を「宝くじが当たる神社」「金運最強の神社」と公式に案内しているわけではありません。「金運」を求めて訪れる場合も、江戸の富くじ文化を知る気持ちで参拝すると、境内がより味わい深く感じられると思います。
椙森神社の富塚|江戸の富くじ文化を今に伝える見どころ
椙森神社を訪れたら、ぜひ見ておきたいのが境内にある「富塚」です。

江戸時代には、寺社の維持や修復費用などを得るため、幕府公認の富くじ「御免富(ごめんとみ)」が行われていました。
椙森神社でも富興行が盛んに行われ、「江戸三富」の一つに数えられるほどだったとされています。
富塚は、この富興行を記念するものです。関東大震災で倒壊したあと、昭和29年(1954年)に再建されました。神社の公式サイトでは、昭和28年に再建を始め、翌年3月に除幕式を行ったと案内されています。
「椙森神社の富札・富塚の碑」は中央区民文化財に登録されていて、単なる宝くじ祈願の場所ではなく、江戸の富くじ文化を伝える歴史資料でもあります。
富塚には水をかけない|参拝前に知っておきたいこと
椙森神社公式サイトでは、「富塚に水をかけて、富を水で流さぬよう」と案内されています。
境内で富塚を参拝するときは、水をかけないようにしましょう。
また、神社所蔵の富札は現在公開されていません。
「椙森神社へ行けば昔の富札を見ることができる」というわけではないので、この点も参拝前に知っておくと安心です。
白い御社殿と鮮やかな屋根|昭和初期の文化財建築
わたしが実際に参拝したときは、白い御社殿と鮮やかな屋根の組み合わせが印象に残りました。

現在の椙森神社の御社殿は、関東大震災後の昭和6年(1931年)に再建されました。
中央区の資料によると、本殿・幣殿・拝殿をはじめ、社務所、神楽殿、水盤舎などが耐震・耐火構造で造られています。
鉄骨や鉄筋コンクリートを使いながら、伝統的な神社建築の意匠を取り入れているのが特徴です。

これらの建物は、震災復興期の神社建築として中央区民有形文化財に登録されています。詳しくは、中央区の「椙森神社 附造営関係資料」で紹介されています。
さらに、椙森神社には江戸時代から昭和期までの祭礼や氏子、社殿の修復・再建などに関する101点の古文書が伝わっていて、こちらも中央区民文化財に登録されています。詳しくは、中央区の「椙森神社文書」で紹介されています。
境内には神楽殿もあり、例大祭や恵比寿神大祭に神楽やお囃子が奉納されます。

椙森神社の御朱印|直書き・受付時間・とみの日も紹介
椙森神社の御朱印について、種類と初穂料、直書きの対応、受付時間、限定御朱印の日をまとめます。
初穂料などは、わたしが2026年9月に参拝したときの情報です。変更されることもあるので、訪れる前に公式サイトでご確認ください。
通常御朱印は2種類|2026年9月は各500円
2026年9月に現地で確認した通常の御朱印は、次の2種類です。初穂料は、どちらも各500円でした。
| 種類 | 初穂料 |
|---|---|
| 椙森神社の御朱印 | 500円 |
| 日本橋七福神・恵比寿神の御朱印 | 500円 |


御朱印帳への書き入れは、公式サイトで「原則平日のみ」と案内されています。
朱印紙での授与も行われています。
わたしが訪れた日は平日だったので、希望すると御朱印帳への書き入れに対応していただけました。
混雑時や祭事の日は、書き置きになる場合があります。公式サイトでも、2026年1月13日の「とみの日」は、行列時に朱印紙へ変更する旨が案内されていました。
受付時間は公式サイトと現地表示で異なる
御朱印等の受付時間は、公式サイトと現地表示で開始時刻が異なっていました。
| 確認した場所 | 受付時間 |
|---|---|
| 公式サイト | 9:30〜17:00(不定不在あり) |
| 2026年9月18日の社務所インターホン表示 | 9:00〜17:00 |

社務所は不在の時間帯もあるようなので、御朱印をいただきたい方は時間に余裕を持って訪れると安心です。わたしが訪れたときは、社務所のインターホンを押して呼び出し、御朱印をいただきました。

なお、境内を参拝できる時間については、公式サイトで明確な案内を確認できませんでした。御朱印の受付時間とは別のものとして考えた方が良さそうです。
毎月13日・10月3日は「とみの日」|限定の富御朱印
椙森神社では、毎月13日と10月3日を「とみの日」としています。
とみの日には、限定の「富」の御朱印が授与されます。
さらに、「とみの日」が金曜日にあたる場合は、「富」の文字が金色になると公式サイトで案内されています。
また、毎年9月2日には「富塚くじの日祈願祭」が行われます。
2026年は10:03の「とみの刻」に祈願祭が始まり、終了後から限定御朱印や御守の授与が行われました。
限定の日は、通常日より混雑する可能性があります。限定御朱印をいただきたい場合は、その年の公式サイトで授与方法や受付時間を確認してから出かけるのがおすすめです。
御朱印帳と籤入れにも富くじの歴史が息づく
椙森神社では、富くじの歴史にちなんだ御朱印帳や授与品も確認できました。

2026年9月に現地で確認できた授与品は、次のとおりです。
富くじの歴史で知られる椙森神社らしい授与品です。
| 授与品 | 内容・初穂料 |
|---|---|
| 御朱印帳 | 白地に金色の刺繍/黒地に金色の刺繍 各2,000円(御朱印込み) |
| 富久當(ふくあたり)籤入れ | 紫/金茶 各1,300円 |
| 絵馬 | 500円 |
| とんぼ玉みくじ | 社務所で見かけました(初穂料は200円) |
神社公式サイトによると、御朱印帳や「富久當(ふくあたり)籤入れ」に封入される護符は、椙森神社に所蔵されている富籤の復刻品をもとにしたものです。
宝くじなどの籤を大切に納める授与品として案内されています。


デザインだけでなく、椙森神社の富くじの歴史ともつながった御朱印帳になっています。
なお、お守りもいくつか並んでいました。
椙森神社公式サイトでは、祭事や季節に合わせた御守の授与も案内されています。授与品は時期によって変わる場合があるため、気になる方は事前に確認しておくと安心です。
日本橋七福神の恵比寿神|神像を見られるのは年2日
椙森神社は、日本橋七福神の恵比寿神をおまつりする一社です。
椙森神社公式サイトでは、恵比寿神像の公開は、毎年10月19日・20日の恵比寿神大祭のみと案内されています。
通常の参拝では恵比寿神像を見ることはできません。
2026年に実際に7社を歩いた順番や所要時間、各社の御朱印については「日本橋七福神巡り2026」の記事で詳しく紹介しています。
例大祭・恵比寿神大祭|べったら市でもにぎわう椙森神社
椙森神社では、年間を通して祭礼が行われます。主なものは次のとおりです。
| 祭礼 | 日程 |
|---|---|
| 元旦祭 | 1月1日 |
| 節分祭 | 2月節分の日 |
| 初午祭 | 3月初午の日 |
| 例大祭 | 5月15日・16日 |
| 大祓式 | 6月30日・12月31日 |
| 恵比寿神大祭 | 10月19日・20日 |
| 新嘗祭 | 11月26日 |
| 月拝講 | 毎月1日 |
| 月次祭 | 毎月16日 |
このほか、毎月13日・10月3日の「とみの日」と、9月2日の富塚くじの日祈願祭があります。
代表的なのが、5月15日・16日の例大祭です。
2026年は3年に一度の本祭にあたり、5月15日に神楽やお囃子が奉納され、16日には氏子町内を大神輿が巡行しました。大神輿は昭和6年(1931年)の一千年祭を記念して作られたもので、重さは約1.4トンあります。
また、毎年10月19日・20日には恵比寿神大祭が行われます。この2日間は、普段は公開されていない恵比寿神像が公開される特別な機会です。
公式サイトでは、この恵比寿神大祭について「縁日の通称:べったら市」と案内しています。
日本橋の秋の風物詩として知られるべったら市の時期は、通常の参拝日とは境内や周辺の様子も大きく異なる可能性があります。
祭礼の日程や内容は年によって変わる場合があるので、訪れる前に公式サイトでご確認ください。
椙森神社へのアクセス|小伝馬町駅から徒歩約5分
椙森神社の最寄り駅は、東京メトロ日比谷線「小伝馬町駅」です。3番出口から徒歩約5分と、電車でアクセスしやすい場所にあります。
そのほか、次の駅からもアクセスできます。
| 最寄駅 | 徒歩の目安 |
|---|---|
| 小伝馬町駅(東京メトロ日比谷線) | 3番出口から約5分 |
| 人形町駅(東京メトロ日比谷線・都営浅草線) | 約5〜10分 |
| 三越前駅 | 約8分 |
| 馬喰横山駅 | A3出口から約10分 |
2026年9月に日本橋七福神を巡った際は、笠間稲荷神社東京別社から歩きました。
笠間稲荷神社を10:53に出発し、椙森神社には11:04に到着しました。
実際に歩いた時間は約11分です。
この日の七福神巡りのなかでは、いちばん長い区間でした。
参拝者用の駐車場については、公式な案内を確認できませんでした。
小伝馬町駅から徒歩約5分なので、公共交通機関での参拝がわかりやすいです。
平日の椙森神社を実際に参拝|落ち着いて巡れた境内
✿実際に参拝してみて
2026年9月の平日、日本橋七福神巡りの途中で参拝しました。11:04に着いて、11:14に出発したので、滞在は約10分です。
この日は境内も比較的落ち着いていて、御社殿や富塚を見ながら、ゆっくり参拝できました。
お正月や「とみの日」、くじの日、例大祭、恵比寿神大祭などは、通常日とは境内の様子が異なる可能性があります。

まとめ|椙森神社は富塚と江戸の歴史を身近に感じられる神社
椙森神社は、平安時代から続くと伝えられ、江戸時代には「江戸三森」の一つとして信仰を集めた歴史ある神社です。
江戸の富くじ文化を伝える富塚と、昭和初期に再建された白い御社殿も見どころです。日本橋七福神の恵比寿神をおまつりしていて、御朱印や御朱印帳、籤入れにも富くじの歴史とのつながりがあり、椙森神社ならではの特徴を感じられました。
現在は宝くじ当選を願って参拝する方もいますが、富塚は中央区民文化財でもあり、江戸の富くじ文化を伝える歴史的な見どころでもあります。
小伝馬町駅から徒歩約5分と訪れやすいので、日本橋の散策や七福神巡りの際に立ち寄ってみてください。
日本橋七福神7社を実際に巡った順番や所要時間については、関連記事も参考にしてみてください。

